クラーク整骨院（厚別森林公園新札幌交通事故治療） | 日記 | 3週間以上続く「不明熱」

原因特定難しいケースも
ポイント:PET検査が診断に有用

　原因が分からない高熱が長期間続く「不明熱」。診察や検査をしてもなかなか診断がつかず、患者は自分の体に何が起きているのか分からないままのつらい状態にどう受け止めたらよいのか。

年間7千人　38度以上の発熱繰り返す

　不明熱の定義は時代によって変わってきましたが、現在は「38度以上の発熱が繰り返し認められる」「その状態が3週間以上続く」「病歴の聞き取り、血液検査など必須の問診、検査をしても診断がつかない」こととされています。
　厚生労働省の「患者調査」によると、2017年の不明熱の患者は7千人。定義を満たさないうちに原因が判明したり、熱が下がったりするケースも多くあります。
　近年は感染症や悪性腫瘍の検査が進歩して原因が判明するケースが増え、原因の内訳では膠原病や血管炎、リウマチなどの炎症性疾患の割合が高まっているといいます。
　診断を確定させる手順はほぼ定まっています。
　体の診察、本人や場合によっては家族の病歴の聞き取り、ふだん飲んでいる薬のチェック、血液や尿の各種検査、細菌がいないかどうかの培養検査、結核や肺炎が隠れていないか調べる胸部エックス線、腹部の超音波検査、コンピューター断層撮影（CT）検査。疑わしい病気の有無を順に確かめ、絞り込んでいきます。
　「なかなか診断がつかない場合は、検査や聞き取りで新たな情報を得て、それを基に考えることの繰り返し」になります。発熱の原因がなかなか分からないため、かかりつけ医から大きな病院へ紹介されることが大半で、高熱の中で度重なる問診、検査を強いられる患者は「消耗しきった状態」になるといいます。
　心配する家族がインターネットなどで検索すると、悪性腫瘍や炎症性疾患の難しい病名が候補として次々に現れ、そのことも家族や本人を疲弊させていきます。

感度高い断層撮影　保険の適用が課題

　標準的な手順を尽くし、一通り検査を重ねてもなお原因が明らかでない場合、陽電子放射断層撮影（PET）装置を使った検査が有用であることが分かってきました。FDG・PETと呼ばれる方法です。
　通常の組織に比べて炎症や腫瘍に糖がより多く取り込まれることを利用します。ブドウ糖の分子の一部を、PETに写る元素である「フッ素18」に置き換えたFDGという物質を投与し、どこに集まるかを撮影して炎症や腫瘍が疑われる部位を調べます。
　従来の検査に比べて感度が高く、被ばく量が少ない。結果が出るまで約1時間半と、検査時間が大幅に短縮できることも利点だといいます。
　南本さんによると、FDG・PETは既に、不明熱の患者で診察や各種の検査を終えた次の手順として標準的に用いられ、欧米では保険医療で受けられるようにもなってきました。
　半面、日本では炎症や腫瘍の検査としては保険が使えるものの、不明熱は適用外。3割の患者は自己負担で検査を受けています。日本核医学会などは、この検査を不明熱でも保険で使えるよう国に要望しています。

国立国際医療研究センター放射線核医学科　南本亮吾診療科長


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