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「『政策起業』で新しい民主主義をつくる」
溺れる赤ちゃんのメタファー
政策起業とは一言でいえば、政治家や官僚でない、私たち「普通の人たち」が、政策や制度づくりに関わり、社会課題の解決を行っていく手法のことです。
私は大学生の頃、IT系スタートアップ企業の経営者をしていましたが、卒業と同時に、いわゆる社会起業家としてのキャリアをスタートしました。
「双子の子どもが順番に熱を出し、会社を休んでしまったらクビになってしまった」。ベビーシッターをしていた母から、“働く親の悩み”を聞き、私は熱を出した子どもの預け先がない問題に意識を持つようになりました。そこから病児保育の取り組みへとつなげたのです。
当初は、「目の前の困っている人を助けたい」という思いで始まった活動でしたが、一方で自分の活動が“溺れる赤ん坊のメタファー”になっているのではないかと思うようになったんです。
溺れる赤ん坊のメタファー
これは社会運動に取り組む人が知っておくべき寓話です。旅人が旅の途中、赤ん坊が川で溺れているのを発見します。旅人は急いで川に飛び込み、必死の思いで赤ん坊を助け出し、岸に戻ります。
しかし、安心して後ろを振り返ると、赤ん坊がもう一人、川で溺れているのを目にします。急いでその赤ん坊も助け出すと、さらに川の向こうでも赤ん坊が溺れている。旅人は、目の前で溺れている赤ん坊を助け出すことに忙しく、他に何も考えることができません。
一体、何が起こっていたのでしょうか? 実は、川の上流に目を向けると、一人の男が赤ん坊を次々と川に投げ込んでいたのです。旅人はそのことに気付かずに溺れる赤ん坊を助けていた、という寓話です。
これは「問題」と「構造」の関係を示しています。つまり、問題を生み出す構造そのものを変えていかなければ、真に社会問題を解決することはできないということです。私は、そのことに気付き、制度や政策を変えることにも目を向けていくようになりました。
それは、ある区の男女共同参画委員会に参加した時が最初のきっかけです。区の施策を区民の目線で確認するために参加したのですが、そこで、ある課の職員が行ったプレゼンを聞いて驚きました。
施策の中で、区民の母親に子育ての楽しさを伝えたいという企画があったのですが、それが予算800万円をかけて、子どもに人気のキャラクターショーをやるというものでした。いろいろとツッコミどころがあったので、その場で意見を言うと、ものすごく冷ややかな反応が返ってきました。
“余計なことを言ってしまったのかな”。会議後、落ち込んで帰ろうとすると、「よく言ってくれました」と声をかけてくれた役所の方がいました。聞けば、その人もその企画に疑問を感じていたものの、「他部署のことに口を出してはいけない」という暗黙のルールによって言えなかったそうなんです。結局、キャラクターショーの企画はなくなりました。
“一市民でも政策は変えられるんだ”。小さな成功体験をつかんだことで、そこから精力的に取り組んでいくようになりました。
病児保育の次に取り組んだのが、小規模保育所「おうち保育園」の開園と、小規模保育の制度化でした。待機児童問題に対して空き家を活用して小規模保育をやり始めたわけですが、それが起点となって、制度へとつながり、全国に小規模認可保育所が広がっていくようになったのです。
政策や制度は国民から遠いもので、選挙で選んだ人が変えるものだと思ってしまっているのだと思います。
でも本当は、私たち“普通の人”が、政策がおかしいと思った時に、それを変えていく回路が社会の中には存在しています。ただ、それが可視化されていないだけでしょう。そういった回路があることを知って実践につなげていけば、日本の変革は加速されていくと思います。
アメリカでは「ポリシーアントレプレナー」と呼ばれ、広く知られています。それを直訳した呼び名が政策起業家です。
アメリカでは、「リボルビングドア(回転扉)」と呼ばれるように、大統領が変わると官僚が全て入れ替わり、民間の人たちがシンクタンクに入るなど、人材の流動性が高い。ですから官僚に任せるのではなく、民間の声を政策に生かしていくということが盛んに行われています。
現場に精通している民間の知恵を生かす
大きな文脈でいえば、かつての日本は欧米西側諸国と軌を一にして、欧米に追いつくことが戦後からの伝統であり、正解でした。答えは常に外国にあったんです。その中では、官僚は外国にある答えをいかにカスタマイズして日本に当てはめていくかという最適化のゲームが求められました。
ですから教育においてもそんな伝統を順守するかのように、最短距離で答えを導き出すことが目指されてきたのです。
それが冷戦の終結によって多極化の時代になりました。資本主義の在り様も大きく変貌していき、ITの導入によってさまざまなゲームチェンジが社会の中で生じてイノベーションが求められるようになってきています。
そこでは、元々答えがある問題を、いかに最短で解くかということよりも、問いそのものをつくっていくことが求められるようになりました。
そのことは政策や支援の在り方についても同じで、もはや日本が向かうべき方向のモデルは存在しないのです。なぜなら、日本のように世界最速で少子化と高齢化が併存して進み、かつ財政の制約が非常に強くかかり、さらには中国という大国がすぐ隣にあるといった“連立方程式”を解いた先行事例はどこにもないからです。
だからこそ民間の力や現場の知恵が必要になってくる
モデルにする国がないわけですから、これまでのように政治家や官僚が答えを持っているわけではないのです。
加えていえば、政治主導のもと政策が乱発されていく今の時代では、官僚が政治の意向に大きく左右されるようになってきています。その時に官僚機構は業務量の増加に伴って、長時間労働となり、疲弊していきます。そうなれば官僚になりたい人は減っていく。その意味でも日本のエリートに任せておけば大丈夫とはいえない状況なのです。
だからこそ、“課題の最前線”である現場に精通している人や、解決策を考え抜いている人たちが重要になります。「現場の知恵」を政策づくりのプロセスにフィードバックしていくことができれば、新しい民主主義の形が作り出せると思うのです。
『政策起業家――「普通のあなた」が社会のルールを変える方法』(ちくま新書)より
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