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認知症などで判断能力が低下すると、銀行の口座が凍結され、家族であっても預金は引き出せない――。医療費や介護費に本人のお金が回せないといった事態に陥らないため、何ができるか。
「判断能力」が分かれ目
親が重度の認知症になったため預金者本人の意思確認が取れず、親の銀行口座が“凍結”され、お金が出せない。医療費や介護費などに資産を回せず、家族が困ってしまうといった事例が多く発生しています。
今や、認知症の発生率は85歳以上で約55%。病気が進行し意思の確認ができなくなってしまうと、家族が銀行窓口に行っても預金は下ろせません。また、現金自動預払機(ATM)を使っても、高齢者のキャッシュカードは1日の引き出し限度額を10万円に制限している金融機関もあり、必要な額がまかなえないことがあります。
自分を支えてくれる家族が困らないよう、対処法を知っておく必要があります。
ポイントは「判断能力があるかどうか」によって対応が変わるということです。
すでに判断能力がなくなってしまった場合、口座の凍結解除には、家族に「成年後見制度」を利用してもらうことになります。
健康なうちにできる対策としては「家族信託」があります。こちらを利用すれば、後見制度を使わず、万一のための資金を準備することができます。
厳正な成年後見制度
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した自分(被後見人)に変わって、預金の管理などをしてくれる人(後見人)を家庭裁判所に選んでもらう制度です。
その後見人には二つ選択があります。判断能力が低下した後に申請する「法定後見人」と、事前に後見人になってほしい人と被後見人が契約を交わしておく「任意後見人」です。
法定後見人の場合は、弁護士や司法書士など、専門職の人が選任される場合が多いです。利用している間は後見人が家庭裁判所に、財産目録や年間のお金の収支などを報告。第三者が厳正に管理するので、使い込み等の不安は少なくなります。
本人の生活費などの必要な出費以外で、財産が減る可能性があることは、基本的にできません。だから、元気な時に「孫の入学金は出してあげるよ」と約束していても、お金を出すことはできません。お小遣いやお年玉も同様です。不動産を売却して施設への入居費や介護費に回すことも容易にできません。
制度は一度利用すると、判断能力を回復するか、亡くなるまで継続。凍結された口座からお金を引き出したいからという、一時的な利用はできません。
また専門職の人が後見人になる場合は、毎月の報酬料が発生します。資産の大小によりますが、月に3~7万円程度になります。
任意後見制度を利用して身内が後見人になった場合、報酬料の支払いはありませんが、後見人の事務を監督する後見監督人が必ず設けられ、そこに専門職の人が就きます。後見監督人には毎月2万円ほどの報酬料が発生します。身内が選任されても、法定後見人の場合と同様、柔軟な資産管理はできません。
家族信託で事前準備
家族信託と聞くと、「信託銀行に頼む」とか「投資商品」を連想する人がいますが、そういったものとは違います。
判断能力がしっかりしているうちに、自分(委託者)の財産の管理などを、息子や娘(受託者)に任せることをいいます。委託者と受託者が1対1で家族信託契約を結ぶので、他のきょうだいがいたとしても財産管理の担当は1人になります。
後見制度と違い、弁護士や司法書士が管理しないので、決まった報酬料は発生しません。家庭裁判所への報告は必要なく、託された財産は委託者の思いに従って、柔軟に使用できます。
家族信託を行ったら、受託者名で銀行に信託口口座を開設します。委託者は、自分の口座から、そこに送金します。信託口の預金は、受託者が委託者の意思に従って使用します。管理をお願いするだけなので、送金による相続税などは発生しません。
注意したい点は、現行のシステムだと、信託口に送金していない委託者の口座は、本人の意思が確認できなくなった時点で凍結されてしまいます。凍結されれば受託者は引き出せません。
家族信託は財産管理が自由になる分、使い込みの危険性が高くなります。そのリスクを回避するため、信託契約の中に、受託者の財産管理を監視する人を設置し、きょうだいに就いてもらうという方法があります。
契約は、この監視役の他、年間収支を開示する約束を結んだりと、各家庭の事情に合わせて、自由に設計できます。
アンド・ワン司法書士行政書士事務所代表上木拓郎さん