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来年1月にも実用化
初期でも8割以上分かる
シャーレの中を移動する線虫。がん患者の尿には引き寄せられる
体長わずか1ミリという線虫が、がんの匂いをかぎ分ける。HIROTSUバイオサイエンスが実用化を進めている「N―NOSE(エヌノーズ)」が注目を集めている。来年1月開始で、初年度は25万人の検査を予定している。
尿1滴で検査可能
エヌノーズの仕組みは簡単です。シャーレの端に被験者の尿を1滴垂らし、中央に数十匹の線虫を置きます。30分ほどすると、線虫が移動します。尿に引き寄せられるようなら、がんのリスクが高く、尿から逃げるように離れていけば、がんでない可能性が高いということ。
線虫によって調べられるがんは、現在15種。5大がん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん)をはじめ、膵臓がん、肝臓がん、前立腺がん、食道がんなど、全身網羅的にがんの検査ができます。
特長は、尿1滴あれば、早期がんでさえ9割近い確率で検知できること。臨床研究の結果、今年4月末現在で、がん患者1392人、健常者514人の調査で、エヌノーズの感度(がんのある人をがんだと判定する確率)は84・5%、特異度(がんが無い人をがんではないと判定する確率)は91・8%になっています。つまり、がんであればおよそ8割の確率で、がんでない場合は9割がないと判定できたのです。
この確率は、これまでのがん検査に比べ、驚異的な数字です。代表的な腫瘍マーカーの「CEA」だとステージ0~1の場合は13・8%でしかありません。また、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像)、超音波、PET―CT(陽電子放出断層撮影)などで画像診断する方法は、がんがある程度の大きさにならないと発見することは難しいのです。
また、検査を受ける側も大変です。一般的な胃がん検査で行われるバリウム検査や胃カメラの場合、前日の何時以降は固形物は食べてはいけないという食事制限があります。大腸内視鏡では、食事制限の上に検査前に下剤を2リットルも飲んで大腸を空にしなければなりません。こうしたことが嫌で、がん検診を受けないという人もいるのです。
早期発見・治療へ
がんは、早期発見、早期治療が大切といわれています。
国立がん研究センターが公表しているステージ別の5年生存率によると、大腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がんは、ステージ1で発見・治療すれば、9割以上が5年以降も生存しています。肺がんや食道がんは少し低く8割以上です。しかし、ステージ4になると、胃がん、肺がんは1桁台になり、大腸がん、乳がん、子宮頸がん、食道がんも10~30%台にまで低下します。
エヌノーズが導入されれば、自覚症状がないような早期がんの段階で治療を始められる可能性があります。現時点では、がん種までは特定できないため、陽性の場合は、がん種を特定するため、次のステップ(検査)に進むことになります。
自覚症状や遺伝的要因がある場合は、その症状に関連する検査を。ない場合は一般的な5大がん検査を受けることになるでしょう。いずれにしても専門家の医師の診断に従って、検査・治療を進めるのが良いと思います。
早期がんが発見されるようになれば、内視鏡手術で対応できるかもしれません。日帰り手術ですぐに社会復帰も可能になるわけです。また、生活習慣の改善で自然治癒するケースも増えるかもしれません。
また、手術後にエヌノーズを実施すれば、体内にがんが残っているかどうかも分かります。全部切り取ったと思っていた腫瘍が残っていて、がんが再発したり転移することを防ぐために抗がん剤治療が必要でしたが、一定の期間をおいてエヌノーズで何度か検査をし、全てが陰性であれば、抗がん剤治療をしなくて済むかもしれません。
がん年齢といわれる40代以上で、がん検診を受けている人は4割程度。時間もないし必要性を感じないからという理由だといいます。でも、がんのリスクが高いといわれたら、そうはいっていられないはず。そんな人の足を病院に向け、命を救う契機になればと思っています。
(HIROTSUバイオサイエンス代表広津崇亮さん)