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「脳梗塞」が全体の約7割
かつて「脳卒中」は、日本人の死亡原因の1位でした。ところが、この数年間、3位か4位となっています。死亡率が減少したことで、死亡原因の1位でなくなったとはいえ、年間で12万人近くの人が亡くなっています。命を救うためには、発症後、なるべく早期に診断し、適切な治療を行うことが重要です。
脳卒中には、大きく分けて、脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れる「脳内出血」「くも膜下出血」があります。
30年ほど前までは、圧倒的に脳内出血が多かったのですが、近年では血圧のコントロールが可能になったことや塩分摂取量の減少などにより、全体の7割程度が脳梗塞となっています。
また、高齢者の男性に多い疾患とされていましたが、近年は、栄養状態が良くなった影響(若い方の「糖尿病」や「脂質代謝異常」が増えている)からか、比較的に若い世代での発症も見られるようになっています。
「FASTチェック」で確認
脳卒中の典型的な症状は、半身のまひや言語障害などです。脳卒中ではないかと疑った時には、早期発見するための「FASTチェック」を行ってください。
すなわち「F(Face)」は、「イー」と言った時に、顔の片方の口角が上がらない、あるいはゆがんでいないか、「A(Arm)」は、手のひらを上に向けて両腕とも前に伸ばした状態で維持できるかどうか、「S(Speech)」は、言葉に障害がないかどうかです。
それらが二つ以上あれば、ほぼ確実に、一つでもあれば5割程度が脳卒中ですので、症状が起こった時刻「T(Time)」を確認して、すぐに救急車を呼ぶようにしてください。
医療機関では、問診のほか、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピューター断層撮影(CT)などの画像検査を行います。
「血栓溶解療法」と「血管内治療」
脳梗塞の治療では、できるだけ早く血栓を取り除くことが大切です。そのための治療が「血栓溶解療法」と「血管内治療」です。
最も有効な血栓溶解療法は、「組織プラスミノーゲンアクチベーター(t―PA)」という薬剤を点滴静注するものです。
ただし、血流が再開した際に出血が起こる可能性を考え、専門の医師のいる医療機関で、発症後4時間半以内に使用することになっています。
以前は起床時に発症に気が付いた場合、正確な発症時刻が分からないために使用できませんでしたが、近年は、MRI検査の結果がある基準を満たすことで発症時刻を推定し、t―PA使用を検討できるようになりました。
一方で、脚の付け根からカテーテルを挿入し、脳内に詰まっている血栓を直接、取り除くのが血管内治療です。
ステント型と吸引型の2種類があり、「心原性脳塞栓症」というタイプでは、主にステントリトリーバーという金属製の網目状の筒で血栓をからめ取ります。「アテローム血栓性脳梗塞」と呼ばれるタイプでは、カテーテルの先端に付けた器具で血栓を吸い取る方法が主に行われます。
近年は、後遺症を軽減するために、血栓溶解療法と血管内治療を併用することが多くなってきています。
生活習慣の改善で予防に努める
脳卒中の要因には、動脈硬化や心房細動(不整脈)などが挙げられます。
動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)など、いわゆる生活習慣病と呼ばれるものと大きく関係しています。
理想的には、血圧は120/70㎜Hg程度、LDL(悪玉)コレステロールは140㎎/㎗以下となるように、塩分や脂質の摂取量に気を付けた食生活を心掛けてください。
糖尿病の指標となるHbA1cについては6・0%未満を目標にすべきですが、過度な低血糖にならないような注意も必要です。
また、多量の飲酒や喫煙は避け、適度な運動をするなど、生活習慣の改善に努めてください。
近年の研究では、「もやもや病」という脳の内頸動脈が閉塞する病気にも関係している「RNF213」という遺伝子の多型(ある程度の割合の変異)に何らかの因子が加わることで、脳梗塞の発症につながることが分かってきています。
今後、さらに研究が進むことで、遺伝子治療や免疫治療など、新たな治療の選択肢が増えることが期待されます。
国立循環器病研究センターの猪原匡史部長(脳神経内科)