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土台は赤ちゃんの頃から
――思いやりのある子どもに育てるために何を心掛けたらよいのでしょうか。
土台は、赤ちゃんの頃からの関わりにあります。赤ちゃんは大きな声で泣き、親は泣く理由が分からなくても、何とかして声を掛けながら、おむつを替えたり、ミルクをあげたりして、赤ちゃんの求めに応えようとします。この求めに応じる「応答」の関わりがとても大事です。「どうしたの?」「おなかが空いたの?」と聞いたり、赤ちゃんの目を見て体に触れたりすることで、赤ちゃんは安心します。応答してくれる人との間に信頼感情が芽生え、その信頼を基盤に豊かな心を育んでいくのです。
子どもが大きくなっても、普段の生活上のサポートや会話などで、「求めに応じること」を心掛けることが大切です。応じるといっても何でもしてあげることではありません。求めに関心を向けてやるということです。
また関心を向けることは、先回りをすることとも違います。大人はよかれと思い、先回りして、例えば、子どもが求めていないのに手の込んだ“キャラ弁”を作ったり、休日の遊びに行く場所を勝手に決めたりしてしまうことがあります。
――なぜ“先回り”に気を付けた方がよいのでしょうか。
先回りの努力をする裏には子どもに対する強い期待があるからです。「お母さん、おいしかったよ」「お父さん、連れて来てくれてありがとう」といった態度を取ることを暗に求めてしまいがち。子どもが期待に沿わない態度を取れば関係が険悪になります。
本当の子どもの願いは、自分の求めていることに関心を持ってもらい、対応してもらうことです。求めに耳を傾けてくれると、自分の存在を受け入れられていると感じます。愛情で心が満たされるのです。
関心を向けると伸びる
――子どもの興味・関心によく注目して関わることが大切なのですね。
そうです。普段の会話でいえば、例えば、子どもと散歩中、「パパ、ワンワンだよ」と言ってきた時に、無視しないで「そうだね、かわいいね」などと話題に応じてあげることが大切です。コミュニケーションは、誰かが話題にしたモノやコトを共有することを指します。互いに関心を向け合うキャッチボールの繰り返しを通して、自分が大切にされている実感を持ちます。聞いてくれる人、分かってくれる人がいることはとてもうれしく、安心感を得るのです。
応答の関わりは、子どもが大きくなっても、大人になってからもとても大事なことです。大人社会でも、何か人に要求したのに、話をそらされたり、無視されたりしたら、ショックを受けるでしょう。
きちんと親に応答してもらい、関心を持ってもらった子どもは、自分を大切にしてもらえた分、人に対しても思いやりの心が芽生えるものです。十分に気持ちを満たされていないことが、人を苦しめたり、危害を与えたりすることにつながりやすいのです。
効果的に身に付ける5つのポイント
また、具体的に「思いやりのある行動とは何か」を教えることも必要だと感じます。人は本能として、思いやりのある行動を知っているわけではありません。周囲から繰り返し教わる中で、徐々に身に付けていくものです。家庭で効果的に教えるためには次の五つのポイントを意識してください。全てを完璧にする必要はありませんが、いくつかを取り入れて家庭で関わることで、思いやりのある行動を身に付けていくでしょう。
①インストラクション(説明)
「思いやりの心を持ちなさい!」と伝えても、どのような行動が思いやりのある行動なのか、初めは分からないもの。だから例えば、友達が転んだら「大丈夫?」と声を掛けようね、などと具体的に思いやりのある行動について子どもが分かる言葉で伝えることが必要です。
②モデリング(観察学習)
人間は見て学ぶ能力が高く、見たことをまねすることができます。周囲の人やテレビ番組などで、思いやりのある行動をする場面があったら、すかさず、「泣いている友達に『どうしたの?』と聞いているね。思いやりのある人だね」などと伝えてください。実際の生活の中でまねするようになるでしょう。
③リハーサル(ロールプレイングなど)
ごっこ遊びのようなものをして、思いやりのある行動を実際にやってみましょう。例えば、道に迷って困っているおばあちゃんの役をお母さんがして、子どもに「どうしたんですか?」などと声を掛ける練習をしてみるなど。遊びの中でやっていくと、普段の生活でも行動できるようになります。
④フィードバック(アドバイスをもらう)
行動を見てあげて、間違えて覚えている部分を訂正してあげることも必要です。その際、ダメ出しではなくて、「声を大きく言えたからよかったね」と、良い点を具体的に褒めた上で、直した方がよい部分を指摘することが効果的です。
⑤チャレンジ(他の場面への行動の一般化)
普段接している親に対しては実践できても、違う場面では実践できない場合もあります。例えば、祖父母の前でも同じような行動が取れるのかをチャレンジさせてみましょう。より行動が定着しやすくなります。
法政大学 渡辺弥生教授