クラーク整骨院（厚別森林公園新札幌交通事故治療） | 日記 | 日本初！！　ランドセルのサブスクを始動

   小学校入学時にかかる費用の、15～30％を占めるといわれているランドセル代。今回は、その初期費用を抑え、途中で好みが変わっても変更可能なランドセルのサブスク（サブスクリプションの略。月額（年額）課金・定額制のサービス）「RandS」（ランズ）を始動した庄山理恵さん。
　
コロナ禍での気付き

　大阪市に本社を構え、創業80年を超える老舗かばん問屋「コクホー」。庄山さんは専務として全国の百貨店、小売店への営業や、直営店に携わる中で、ユーザーのさまざまな声を耳にしてきた。
　「最近はラン活（小学校入学前にランドセルを選び、購入する活動）の早期化で、早い方は入学の1年半ほど前から展示会などに足を運ばれています。
　その様子を発信するSNSを見て“いいものは早くなくなってしまうのでは”と、焦ってしまう方もいらっしゃいます。
　ランドセルを選ぶ行為は楽しい半面、価格帯が幅広く種類も豊富で、どれを選べばいいのか悩ましい、焦りがストレスにもなっている、というお話を多々伺っていました」
　中には「これを選んで飽きないでしょうか？」と、答えに困る質問も。子どもは色やデザインなど好みの変化だけでなく、体も成長していく。
　また、ランドセルは自治体によってルールが異なり、校章入りのナイロン製のリュックサックなどを採用しているところもある。帰国生や転校など、高学年でランドセルを購入するのはもったいない、という声もあった。
　「実はこの業界、子どもの数は減っているのに新規参入が多く、市場規模は拡大しています。10年前は約400億だったのが、今は560億くらい。価格も高騰し、平均購入価格帯は5万8000円台。ライバルが出てくる中で、どう差別化するかがテーマでした。
　そこに約3年間のコロナ禍。取引先は休業を余儀なくされ、余剰在庫が発生しました。
　お客さまから伺っていたお悩みを解決したい、もっと自由に楽しく選んでいただきたいと考え抜いた結果が、サブスクです。
　これなら、余剰在庫も有効活用できます。私たちは問屋なので、既に多くのハイスペックな商品が手元にある。これは強みだと気付きました」
1年生には新品を
　これまでのランドセルの概念は“購入するもの”。プロジェクトチームを立ち上げ、社内で提案すると、サービス料だけでやっていけるのかと、他の役員たちから反対されたが、庄山さんの決意は揺るがなかった。
　チームで検討に検討を重ね、国の事業再構築補助金も得て、自信を持って提供できるサブスクサービス「RandS」を作り上げた。メーカー、ユーザー、自社と、全てがウィンウィンとなる仕組みだ。
　アプリ開発もユーザーが使いやすいようギリギリまで調整し、本年2月にサービスを開始。すると、自分たちの予想以上に大きな反響を呼んだ。開始2カ月後には約300件の申し込みが。その後も、毎月数百件の問い合わせが続いている。
　プランは3タイプ。最大250種類から選ぶことができ、月1回～4カ月に1回、別のランドセルに交換が可能（契約により異なる）。一番人気は、月990円のバリュープランだ。
　「この価格帯で可能なのは、上位のプランによるカバーと、最新モデル以外の在庫も活用しているからです。
　あと、やっぱり1年生の時は新品を使いたいですよね。写真も撮ってあげたいはず。なので、プラン設定で、1年生の契約者様には、初回のみ新品を提供します。
　これは、私たちと長年のパートナーシップがあるメーカーさんの生産本数を落とさないためでもあります。“サブスク＝生産本数を抑える”と誤解されないよう、主要メーカーさんにはサービス開始前にごあいさつに行きました」
　他にも、初月実質0円、交換時の往復送料無料（規定回数内）、気に入れば途中で購入切り替え可能、3年間同じものを使用すると無料進呈など、うれしいサービスが詰まっている（2023年9月24日現在）。

どんな家庭の子でも

　「お試し購入が人気なのは、後悔したくないからだと思うんです。サブスクの一番のメリットは、教科書や学校で決まっている必要なものを入れて、実際に通学できるところ。子どもの体にフィットしているか、ゆっくり試すことができます。ラン活で焦らなくていいんです。
　ランドセルの歴史は136年。それだけ支持された理由があります。特に体が未熟な低学年のお子さんにとって、重量を垂直に落とすことで姿勢の安定を図り、負荷を身体全体に分散させる構造は重要です。さらに近年は軽量化、機能の充実など、進化を続けています」
　サブスクは、子どもにとっても好きなランドセルを使えるチャンスだ。今までは、例えば子どもが白いランドセルを気に入っても、親目線で「汚れる」「目立つといじめられるかも」「飽きる」などと、違うものを購入していたケースも大いに考えられる。
　ちなみに、交換されたランドセルは丁寧に除菌され、職人による修理、メンテナンス後に再利用される。
　「同じランドセルを6年間使うことも、もちろん大事です。ただ、人工皮革のランドセルの耐用年数は10年から15年といわれていて、6年しか使わないのは“もったいない”ということも訴えたい。
　今までは売っておしまいでしたが、一つ当たりのランドセルの活躍期間を延ばし、資源の無駄使いをしない、みんなのものを大切に使う、という気持ちを育めたらと考えています」
　今、多くの声を聞く中で思うのは、どんな家庭でも「好きなランドセルを選ぶことを、諦めてほしくない」ということ。庄山さんは一般社団法人を立ち上げ、行政から支援を受けている家庭に対して、入学時にランドセルに限らず必要な通学かばんを選べるクーポンなどを発行できるよう、RandSとは別のサービスを、いくつかの自治体に提案している。
　「サブスクに対する皆さんの反響の大きさに、今でも驚きを隠せません。その期待にお応えするため、常にアンケートや調査などでフィードバックを受け、時代の変化に合ったサービスを提供できるよう、改良を続けていきます」

コクホー株式会社　専務取締役　庄山理恵さん

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