交通事故をはじめ、痛みを放置せず、一生使える体に整える整骨院
TOP > クラーク整骨院(厚別森林公園新札幌交通事故治療) 日記 > 「ここまでできた」と自分を認めることで前に進んでいける
「私、“ネガティブ思考クイーン”だったんです」
「ツレがうつになりまして。」の原作者・細川貂々さん。
最近まで、悲観的な自分が嫌で“生きづらさ”を感じていたという。その経験を踏まえてつづった初のエッセーが『わたしの主人公はわたし』だ。著作に込めた思いや、自己肯定感の育み方などについて話を聞いた。
「
主人公は私自身!
誰もが欠点やコンプレックスを持っている。青春時代は、それが許せず自己嫌悪に陥ることも多い。細川さんは小さい頃からネガティブ思考で、“私なんてダメ”という自己嫌悪の感情が強かったという。漫画家となり、作品がヒットすれば、自分が変われると考えたこともあった。
“ツレうつ”がベストセラーになり、自分に自信がつくかと思っていました。けれど、悲観的で自己否定的な内面は変わらない。何かの間違いだって思いましたよ(笑い)。 自分の作品なのに、素直に喜べない。周囲は盛り上がっているのに、自分はうれしくない変な感じでした。
小さい頃、母親から「自分のことは悪く言いなさい」「自分が喜んでいるのを人に見せちゃいけない」と言われて育ち、素直に感情を出せず、自分を肯定できなくなっていきました。
6年前に母親が亡くなった後、母と自分自身の関係を振り返りました。もちろん母には感謝しているのですが、そこで、“ネガティブ思考クイーンになったのは、母親のネガティブ教育の成果だったんだ”って、改めて分かって(笑い)。 カウンセリングに通ったり、自分の考え方を見つめ直す中で、そんな自分自身を受け入れられるようになったんです。
そうした経験に基づき、『わたしの主人公はわたし』をつづった。
自己肯定感が低かったり、生きづらさを感じている方に、少しでも私の経験が参考になればと、初めて本を書きました。でも、文章って難しくて、これが最初で最後の活字本になるかもしれませんけど(笑い)。
タイトルは、私がずっと自分に言い聞かせてきた言葉なんです。自己嫌悪に陥ると、他人の意見に振り回されたり、前に進めなかったりして、そんな時は“わたしの主人公はわたしなんだ”と心で繰り返していました。そうすると楽になるので。
この本では、一人で考えるよりも誰かと話すことが自分を見つめるために大切なことや、人付き合いが上手な友達を観察することで対人関係が変わったことなど、具体的な経験も記しています。
若者の自己肯定感
日本の若者は自己肯定感が低いという調査がある。青少年の自己肯定感の育成は教育界の大きな課題だ。
“自己肯定感ゼロ”で育った経験から言えるのは、周りにいる大人の関わり方が、とても大切だということですね。
特に本人が落ち込んだ時。たいてい大人は、「だから言ったでしょう」と、本人の取った行動を頭ごなしに否定したり、逆に、「大丈夫だから、頑張ろう」と、無理に気持ちを上げようとします。
でも、どちらも“落ち込んでいるあなたがダメ”という考えが前提になっています。 本人にとって重要なのは、マイナスな状況をありのまま受け入れてくれるかどうかです。それが、本人の存在を肯定することにつながる。 落ち込んでいる時こそ、“人間なんだから、落ち込んで当然なんだよ”と、寄り添ってあげてほしい。 若者の立場で言えば、失敗した時、“だから自分はダメだ”ではなくて、“ここまでできた”と自分を認めていくことが大切です。そうすることで、前に進んでいけます。
インスタグラムやツイッターなど、若い世代の意思疎通に欠かせないSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。他人の評価に左右されることから、自己肯定感が育たない一因と指摘されることも。細川さんはどう利用しているのか。
以前はSNSによって、気持ちが引っ張られてしまうことがよくありました。コメントを見て落ち込んだり、“他の漫画家さんの作品に重版がかかった”なんていうのを見て、嫉妬心がメラメラと湧いてきたり(笑い)。気持ちがもやもやしていたり、物事がうまくいかない時にSNSを使っていたことに気付き、今は、気持ちの乗っている時に見るようにしています。
SNSに気持ちが振り回されない、自分なりの工夫も大切ですよね 。
夫の寛解のきっかけ
うつになった夫(ツレ)を支えながら、夫と共に乗り越えてきた。
うつの寛解の大きなきっかけとは。
最初のうちは、ツレの病気に対して、“早く治ってくれればいいな”と思っていました。でも、その治ってほしいという気持ちさえも、うつの人にとっては重荷になる。
そのうち、「ずっとこのままでもいいや」と考えるようになったんです。
ある時、「このままでいいよ。ずっと2人でのんびり生きていこうよ」と素直に伝えました。実は、その言葉にツレは安心感を覚えたようなんです。それから数カ月後でした。薬を飲まなくてよくなり、寛解したのは。
ストレス社会の昨今、うつは珍しくない。
周囲にうつの人がいる場合の関わり方のポイントについて。
ぜひ、うつになった状況自体を認めてあげてください。本人は“早く治りたい”とか“こんな自分が情けない”と、病気になった自分を否定します。 でも、本人も周囲も状況を否定していたら、お互いにどんどんつらくなっていきます。周囲が「なってしまったんだから、しょうがないね」と状況を認めながら、「じゃあ今日は何をやろうか」と、今できることを一緒に積み上げていくことでしょうね。
夫の闘病に寄り添い、心から実感した“ある言葉”があるそうだ。
以前、「人を変えることはできないけど、自分は変われる」という言葉を、ある人から聞いたことがあります。ツレと闘病する中で、本当にその通りだと実感しました。自分の一言で、安心感を与えることもできます。
人生の不幸というのは、自分自身の「決めつけ」や勝手な「思い込み」から起こる場合が多いんじゃないかと感じます。「ダメ」と決めているのは、結局自分自身なんですよね。
これからも、自分に自信が持てなかったり、心の悩みに苦しむ人のために、作品を作り続けていきたいと思っています。
漫画家 細川 てんてんさん